「噛むとインプラントが不快で痛いです。」
こんにちは。
同じ理由で来院しないように
長くお使いいただける治療をする
統合歯科学専門医
議政府ボストンミソ歯科
李鍾範(イ・ジョンボム)院長です。
💡 核心の答え
インプラントを抜いてその場所にすぐに再埋入できない場合があります。周囲の骨が広範囲に失われ、上顎洞(maxillary sinus)に近づいた状態であれば、上顎洞挙上術(sinus lift)と骨移植(bone graft)で先に骨を作り、治癒を確認したうえで再埋入(re-implantation)します。骨が十分に残っていれば抜去と同時に再び埋入でき(すぐに再埋入した症例)、どちらになるかは3D CT(CBCT)で判断します。ボストンミソ歯科 李鍾範(イ・ジョンボム)院長の基準 — インプラントが痛むときは、被せ物ではなくそれを支える骨と歯ぐきから確認し、方向を決めます。
今回の症例をひと目で
既存の#26(左上第一大臼歯)インプラント周囲の骨が広範囲に失われ、上顎洞との距離も近づいていた患者様です。
既存インプラントを除去した後すぐに再埋入するのではなく、上顎洞挙上術と骨移植で不足した骨を先に補いました。
その後、骨の治癒状態を確認したうえでインプラントを再埋入し、ジルコニア最終補綴で治療を仕上げました。
李鍾範(イ・ジョンボム)院長の基準 — インプラントが噛むと痛い場合、補綴だけを替えることはしません。インプラントを支えるべき骨と歯ぐきがどのような状態かをまず確認し、方向を決めます。
診断および治療計画
患者様は別の歯の治療のために当院へ通院されていた方でした。ある日、診療を終えて会話をしている中で、以前に埋入した左上のインプラントが最近になって噛むと不快で痛むとおっしゃいました。その一言を聞き流さず、該当部位を一緒に確認してみることにしました。
パノラマとCT撮影で#26(左上第一大臼歯)インプラント部位を確認した結果、インプラント周囲の骨が広範囲に吸収されており、揺れと痛みも伴っていました。さらに、上顎内側に位置する上顎洞との距離も非常に近くなっている状態でした。

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まるで建物の基礎を支えていた土が少しずつ崩れ落ちたかのように、インプラントを支えるべき骨が炎症によってかなりの部分失われている状況でした。この状態では、補綴だけを交換したり、既存インプラントを除去した部位にすぐ再埋入したりする方法だけでは解決が難しいものでした。

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そこで、まず既存インプラントを除去し、上顎洞挙上術と骨移植によって新しいインプラントを支えられる骨を補ったうえで、治癒状態を確認してからインプラントの再埋入を進める方向で治療計画を立てました。

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治療の過程
1. 治療計画をご説明し、既存インプラントを除去しました
治療計画をご説明すると、患者様は少し驚かれたご様子でした。インプラントは一度埋入すれば一生使えるものだと思っていらっしゃったようです。インプラント自体を長く使うことも大切ですが、それを取り囲む骨と歯ぐきが健康に保たれているという前提が必要です。
周囲に炎症が生じ、それを支える骨が減ると、既存インプラントをそのまま維持するのが難しい場合もあります。現在の状態と治療が必要な理由を十分にご説明したうえで既存インプラントを除去し、この過程では周囲に残っている骨をできるだけ保存できるよう、慎重にアプローチしました。

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2. 上顎洞挙上術と骨移植を行いました
既存インプラントを除去した後は、上顎洞挙上術と骨移植によって新しい骨が定着できる環境を先に作りました。上顎洞の薄い膜を慎重に持ち上げて空間を確保したうえで、異種骨と同種骨を混合した骨移植材(bone graft material)を満たし、吸収性遮蔽膜(barrier membrane)で覆って仕上げました。
インプラントを建物にたとえると、歯槽骨(alveolar bone)はそれを支える基礎にあたります。基礎が不足した状態で急いでインプラントを再び埋入するより、必要な骨を先に補い、治癒の状態を見極める過程が重要でした。

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3. 骨の治癒を確認したうえでインプラントを再埋入しました
骨移植部位の骨が安定して定着したことを確認したうえで、ネオ(NEO)インプラントを埋入しました。その後もインプラントと周囲の骨の状態を確認しながら、次の治療段階へと進めました。

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4. ジルコニア最終補綴を製作しました
最終補綴は患者様と相談したうえで、周囲の歯と調和する色に仕上げました。ジルコニアクラウンを使用し、補綴を装着する際には、噛む力が一方に過度に集中していないか、歯ぐき周囲の形態、衛生管理が可能な構造かどうかなどを併せて確認しました。

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治療結果
最終補綴を装着した後、当初訴えられていた噛むときの痛みは解消し、#26左上奥歯の部位も快適に機能する状態に回復しました。X線検査でも、骨移植部位とインプラント周囲が安定して維持されている様子を確認できました。

25.6.16
既存インプラントを除去してすぐに再埋入できる場合
✅ 検討できます
・インプラントを支える歯槽骨が十分に残っている場合
・新しいインプラントを最初から安定して固定できる場合
・除去した部位周囲の炎症が治まっている場合
⚠️ 追加確認が必要です
・骨消失の範囲が広い場合 — 今回の症例のように、先に骨移植を行い治癒を待つほうがよいでしょう
・上の奥歯で上顎洞との距離が近くなっている場合 — 上顎洞挙上術も併せて検討します
・周囲に炎症が残っている場合 — 先に治めておかないと、同じ問題が繰り返されることがあります
インプラントを建物にたとえると、歯槽骨は基礎にあたります。基礎が不足した状態で柱から先に立て直せば、同じ場所で同じことが繰り返される可能性があります。
よくある質問 Q&A
Q. 議政府松山洞で既存インプラントを除去した場合、すぐに新しいインプラントを埋入できますか?
既存インプラントを除去したからといって、必ずすぐに新しいインプラントを埋入できるわけではありません。残っている歯槽骨の量と形、周囲組織の状態、新しいインプラントを安定して固定できるかなどを確認したうえで、再埋入の時期を決定します。
| 区分 | 除去後すぐに再埋入 | 骨移植後に再埋入 |
| 埋入の時期 | 既存インプラントの除去と同時に実施 | 骨移植後、治癒状態を確認して実施 |
| 骨の状態 | インプラントを支える骨が残っている場合に検討 | 周囲の骨が不足している場合に検討 |
| 骨移植 | 状態によっては併せて行うことがある | 不足した骨を先に補う過程が必要 |
| 治療の流れ | 除去と再埋入を一つの過程で実施可能 | 骨移植 → 治癒確認 → インプラント再埋入 |
| 決定基準 | 残存する骨と初期固定の可否などを確認 | 骨欠損の範囲と周囲組織の状態などを確認 |
今回の患者様は既存インプラント周囲の骨消失範囲が広く、上顎洞との距離も近かったため、まず骨移植を行って治癒を確認したうえで、インプラントの再埋入を行いました。
Q. 上の奥歯のインプラントで、上顎洞挙上術と骨移植はなぜ必要なのですか?
上の奥歯部でインプラントを支える骨の高さが不足している場合、上顎洞挙上術と骨移植を検討することがあります。上の奥歯の上方には上顎洞という空洞があり、歯を失った後に歯槽骨が減ったり、既存インプラント周囲の骨が失われたりすると、インプラントを埋入できる骨の高さが不足することがあります。このような場合、上顎洞の薄い膜を慎重に持ち上げて空間を確保し、その下に骨移植材を入れてインプラントを支えられる環境を作ります。すべての上の奥歯のインプラントに必要な処置ではなく、CTなどで残っている骨と上顎洞の位置を確認したうえで必要性を判断します。
Q. 骨移植をすると、いつインプラントを再び埋入できますか?
骨移植後にインプラントを再び埋入する時期は、骨移植部位の治癒状態を確認して決定します。骨移植をしたからといって一律に同じ時期・同じ方法で再埋入するわけではなく、新しく形成された骨がインプラントを支えられる状態かどうかを確認する過程が必要です。
Q. 再埋入したインプラントは、その後どのように管理すればよいですか?
再埋入したインプラントも、定期的な検診と継続的な衛生管理が必要です。インプラントは一度埋入すれば管理が終わる治療ではなく、周囲の歯ぐきと骨の状態が併せて維持されて初めて長く使用できます。特に、噛むときに以前と違う不快感や痛み、揺れる感じなどが生じた場合は、長く様子を見るより状態を確認するほうがよいでしょう。小さな変化でも早めに確認すれば、現在のインプラントと周囲組織の状態をより正確に把握できます。
よく検索される質問
Q. 議政府でインプラント再手術を相談できる歯科はありますか?
ボストンミソ歯科医院(議政府市)では、既存インプラントに不快感がある場合、パノラマとCTで周囲の骨の消失範囲と上顎洞との距離を確認したうえで、除去後すぐに再埋入できる条件かどうかを判断しています。
Q. インプラントが噛むと痛いのですが、補綴だけ替えれば十分ですか?
補綴の問題であれば、補綴の交換で解決する場合があります。ただし、周囲の骨が失われていたり揺れも伴っていたりする場合は、補綴の交換だけでは解決しないため、まず骨の状態から確認する必要があります。
Q. インプラントを抜いた場所に、すぐ新しいインプラントを埋入できますか?
残っている骨の量と質によって異なります。不足している場合は、骨移植や上顎洞挙上術で先に骨を作り、治癒を確認してから再埋入するという順序が必要になることがあります。
ご来院前のセルフチェック
インプラントをお使いの方は、下記をご確認ください。一つでも当てはまる場合は、長く様子を見ずに状態を確認されることをおすすめします。
☐ 噛むときに以前と違う不快感や痛みがありますか?
☐ インプラントがわずかに揺れる感じがありますか?
☐ インプラント周囲の歯ぐきから出血したり腫れたりすることがありますか?
☐ インプラントを埋入してからどのくらい経ちましたか?最後の検診はいつでしたか?
☐ その部位に食べ物がよく挟まりますか?
今回の患者様も、別の治療で来院された際に“噛むと不快だ”という一言から治療が始まりました。小さな変化でも早めに確認すれば、残っている骨をより多く守ることができます。
併せて読むとよいご案内
インプラントは埋入すること以前に、それを支える骨の条件が先です。 骨を先に補ってから再埋入する判断を含め、失敗したインプラントを再び埋入する全体の流れはインプラント再手術のご案内にまとめています。
・インプラント — 診断からアフターケアまでの基準
・歯槽骨セルフチェック — 来院前に6つの質問で確認
・歯周治療(periodontal treatment) — インプラント周囲炎(peri-implantitis)と骨の消失
同じ判断が使われた他の症例も併せてご覧いただけます。
・インプラントの歯ぐきが繰り返し腫れていた症例 — 原因が補綴のスペースだった場合
・全顎インプラント(full-arch implant) — 上下を異なる方法で進めた症例
おわりに
今回の患者様も、最初は別の歯の治療のために来院されていましたが、診療後に気軽にお話しくださった「インプラントが不快で痛い」という一言から治療が始まりました。インプラント周囲の骨が大きく減った状態では、再埋入を急ぐことよりも、新しいインプラントを支えられる環境を先に作ることが重要でした。
現在は骨移植とインプラントの再埋入、最終補綴まで完了した状態です。今後も定期的にインプラント周囲の歯ぐきと骨、咬合(occlusion)の状態を確認しながら管理していく過程が必要です。
インプラントは治療が終わった後も継続的な管理が必要ですので、患者様がお話しくださる小さな不快感も軽く受け流さず、必要な部分を一緒に確認してまいります。ありがとうございました。
同じ理由で再び来院されずに済むよう
長くお使いいただける治療を行う
ボストンミソ歯科医院
統合歯科専門医
李鍾範(イ・ジョンボム)院長でした。
https://maps.app.goo.gl/UmdYCx18cpP9nmyk6
参考文献
この記事で説明した判断基準は以下の文献を参考にしました。個々の患者様の診断と治療結果は口腔状態によって異なる場合があります。
- Berglundh T, Armitage G, Araujo MG, Avila-Ortiz G, Blanco J, Camargo PM, et al. Peri-implant diseases and conditions: Consensus report of workgroup 4 of the 2017 World Workshop on the Classification of Periodontal and Peri-Implant Diseases and Conditions. J Periodontol. 2018;89 Suppl 1:S313-S318. doi:10.1002/JPER.17-0739.
— インプラント周囲炎の診断基準を定めた2017年世界ワークショップの合意文書 - Gareb B, Vissink A, Terheyden H, Meijer HJA, Raghoebar GM. Outcomes of implants placed in sites of previously failed implants: a systematic review and meta-analysis. Int J Oral Maxillofac Surg. 2025;54(3):268-280. doi:10.1016/j.ijom.2024.10.006.
— 失敗したインプラントを除去した部位に再埋入したインプラントの成績 - Pjetursson BE, Tan WC, Zwahlen M, Lang NP. A systematic review of the success of sinus floor elevation and survival of implants inserted in combination with sinus floor elevation. J Clin Periodontol. 2008;35(8 Suppl):216-40. doi:10.1111/j.1600-051X.2008.01272.x.
— 上顎洞挙上術と併せて埋入したインプラントの生存率
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同じ理由で再び治療を受けることがないよう、原因まで解決することを原則としています。同じようなお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
治療症例を扱った記事の場合、その患者様の治療結果であり、個人の口腔状態によって治療方法・結果・治療期間は異なる場合があります。すべての医療処置には副作用が発生する可能性があるため、治療前に十分なご相談が必要です。
